シャー。
カーテンを開ける。
すると窓から溢れんばかりに太陽の陽が入り込む。
メイド、は毎度のようにこの動作を繰り返す。
『ドラコ様、朝ですよ。今日はいい天気ですよ。外で散歩をしてみてはどうでしょう』
返事はかえってこない。
これぐらい、日常茶飯事だ。
『ドラコ様?もうすぐ朝食のお時間です。間に合いませんよ』
「が一緒に散歩してくれるんだったら起きる」
『!!』
は、ビクッと身体を一瞬震わせるが、いつも通りにゆっくりとドラコ様の方へと身体を向ける。
『ドラコ様、起きていらしたんですか?それではお着替えを・・・』
「・・・一度言ったはずだ」
「が一緒に散歩してくれるなら起きる」
『・・・本当ですか?』
「あぁ」
『それじゃぁ、一緒に散歩をしましょう。何時頃にしますか?』
「!!っじゃぁ、朝食を食べたらすぐ、な」
ドラコは一瞬にして満面の笑みを浮かべ、そそさくベッドからおり、着替えに向かった。
『・・・・ふふっ』
は一人、にやけ笑いをする。
嬉しいな。
「一緒に散歩してくれたら起きる」なんて....
そんなの断るはずないじゃないですか。
もう何も言われなくてもついて行くつもりでしたから。
そしてまた一人にやけ笑いをする。
・・・それにしても、最近はドラコ様が自分の気持ちをよく言葉に出して伝えるようになったな。
素直になってきた?
そういえばもう15か。大人になったな。
は部屋の全てのカーテンを閉め、一部の窓を開けた後
ベッドを整えるのに取りかかる。
最近背も高くなったよね。
たしかちょっと見上げるようになった気が・・・
バンッ!!!
隣の部屋とをつなぐ扉が勢いよく開く。
「よし、。早く食べて早く行くぞ」
『はい。それでは急ぎましょうか』
「あぁ」
そういうやいなや、ドラコ様は走り出し、
廊下、階段をすさまじい音で駆け抜けていく音が聞こえた。
『・・・・ふっ』
いや、やっぱりまだ子供だ。
食事をしおわえたら、すぐに玄関へと向かった。
(いや、正しく言えば、ドラコ様に強制的に食事を終わらされ、連れてこられたのだが)
『ドラコ様、私、まだ食事中だったのですが・・・』
は表面上困った顔をしているが
内心、喜びのうずにかられていた。
いや、だって、腕引かれて
「早くこい」なんて言われて・・・
強引さがまたいい。
ぼへぇと心の中で喜びに浸っていると、
ドラコ様が反発するような顔で私へと向き直る。
「が食べるの遅いからいけないんだ」
『え、で、でも・・・』
いやいや、あんたがただ早すぎるだけだよ。
だって4分ぐらいで食べ終わってたよ。
「お前は僕のメイドなんだから、僕についてこれさえすればいい」
『あれ?私っていつからドラコ様専属メイドに・・・?』
「お前がここにきたときからだ」
フンッとお得意の鼻鳴らしをし、玄関を出て行く。
駆け足で走って行くのが聞こえる。
あぁ、ドラコ様が出て行ってくれてよかった。
今の私の顔、真っ赤かだよ。
は両方の掌を両頬にあて、壁により掛かり、
ズルズルと下がっていく。
「お前は僕の専属メイドだ」
「僕についてこれさえすればいい」
・・・・ちょっ、ちょっと、それって、ある意味
プロポーズ、的な感じだよね。
ひゃーーーーー!!
は顔から湯気が出るんじゃないかっていうくらい顔を真っ赤に染める。
あぁ、嬉しいやら恥ずかしいやらで、涙がでてきた。
ふぇ、と声を出した瞬間、ドラコ様が扉を開け入ってきた。
当然のように、ドラコはの泣いている姿をみて、そばへとかけよる。
どうした?。っと声をかけられるが、今はそれどころではない。
ドラコは困ったような顔をしながら、そっとを抱きしめた。
は驚き、ビクッと身体を震わす。
「・・・・、そんなにも、僕との散歩がいやだったのか・・・?」
フルフルと顔を振り、
「違います・・」と小さな声でつぶやく。
どうしよう。
本当にどうしよう。
ドラコ様が好きだ。
ものすごく今、あなたへの気持ちがあふれてくる。
胸が、苦しいよ。
はドラコの背中へと腕を回し、抱きしめ返す。
ドラコ様、あなたに早くこの気持ちを伝えたい。
けれども今の私たちの関係じゃ、何も言えない。
もどかしい。
こんなにも近くにいるのに。
貴方の存在が果てしなく遠い。
二人は玄関で数分抱き合ったまま、動かなかった。
恋いを、知りました。