教室の移動中の出来事だった。
クラッブとゴイルを引き連れ、廊下の角を曲がろうとしたときに、それは起こった。
「おいクラッブゴイル、今日のポッター達を見たか??あいつらっ・・・!?!?」
僕がちょうど後ろを振り返って話をしようとした瞬間に横から何かがぶつかった。
なんとか体勢は保てたが、ぶつかってきたほうは勢いで倒れていた。
「おいっ大丈夫かマルフォイ!」
クラッブがそういい手を出し、ゴイルも手を差し出しながらぶつかってきた相手を睨んでいた。
「マルフォイ・・・・・こいつ女だ。しかもグリフィンドールの」
「何だと?グリフィンドール!?クソッ、よりによってそんな奴が僕にぶつかってきたのか」
あんな穢れた血がたくさんいるとこの奴なら、女でも関係ない。
立ち上がろうとしている女に上から声をかける。
「おい、そこの女。僕にけがをおわせるつもりか?グリフィンドール生のくせに」
するとその女は急に動きを早めて立ち上がった。
『ご、ごめんなさい!あの、本当にごめんなさい!大丈夫ですか?!どこかぶつけましたか?!』
その女は涙目になりながら心配そうに聞いてきた。
あまりにも真剣に聞いてくるので根負けしそうになった。
「あ、あぁ、けがはないが・・・・」
『本当に?よかったー、それじゃ、本当にごめん。じゃぁ』
そう言って女は駆け足で去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・なんだあいつ」
少しの間だけ間抜けに口を開き、呆然と立っていた。
一瞬の出来事に感じた。
なんせ初めての出来事だったからだ。
「・・・・・・・・・・・・・・どうしたんだ?僕は・・・?」
そう、人生初の一目惚れ。
しかも相手がグリフィンドール生。
こんなことあるはずないのに。
あってはならないことなのに。
「何を考えてるんだ、僕は・・・!!」
いや、もしかしてこの気持ちは違うものなのかもしれない。
ちょっと興味とか、興味・・・・、とか・・・
ああもう、自分がわからなくなってきた。
何も考えないでいよう。
変な事を考えるからいけないんだ。
ほら、もうこれで解決した。
これでいいんだ、これで
そう心に決めてからたったの2、3日後、最悪の出来事が起こった。
「あいつ・・この前の・・・!?」
そう、あの女がいたのだ。グリフィンドールとの合同授業の時。
今まで全然気がつかなかったのだが、こういうときに限って気づいたりするものだ。
クラッブとゴイルに動揺を悟られないように、平然とした様子で席に座る。
けれでも今更になって、意味がないことに気がついた。
『聞いて!!冬休みのときにさ、めちゃくちゃ面白いおじさんがいたんだ!それがさ、』
「・・・・・・・・・・・・・・」
『話してる途中でい、い、入れ歯がっ入れ歯がっ・・・・ポーンって、と、飛んでってさ、ぁ、ははは!!』
「・・・・・・・・・・・・・」
『ぽっポーンて、目のアハ、前で、ポーンって、ヒックあははは!!』
うるさい。
いつもならハリー・ポッターの声ぐらいしか気にならないのに。
異様なほどに耳に入ってくるあの女の声。
しかし何故か、あの声は嫌な感じがしない。
意識してしまい、心臓の動きが速くなる。
すると呼吸がしにくくなり、肩が自然と上下運動してくる。
コントロールのしようがないものは仕方がないので、もうあきらめることにした。
「は〜い。授業始めますよ〜」
ちょうどその時、ナイスなタイミングで先生が入ってきた。
声が聞こえなくなった。
ちょっと寂しさを感じたことは、気づかなかったことにしよう。
授業が始まった。
今日はなにやらグループを作り、実験らしきことをするらしい。
「・・・・・(めんどくさ)」
そんなことを思いながら、ちゃっかりと準備をするのはお決まりだ。
前の机に置いてある道具を持ちに行った。
すると、また見つけてしまった。
「(あぁ、もう・・・本当に勘弁してくれ・・)」
前の机にあの女がいたのだ。手にはほとんどの道具が握られている。
「(あの女のグループの男共は何をしているんだ!女にあんなたくさんの道具を持ちに行かせて・・!!)」
いつのまにやらあの女を庇っている自分がいることに気がついた。
何をやっているんだ、僕は。
あの女のことは気にしないと決めたはずなのに・・・
「・・・・・・っ!!危ない!!」
『あ!!』
自分の考えに浸っていると、いつの間にやらあの女は、もう前を通り過ぎようとしていたところだった。
すると突然、彼女は何かに引っかかったのか、身体が前のめりに倒れて行く瞬間だった。
運がよかった。
前を見るのがもう少し遅ければ、道具も何もかも壊れていただろう。
(壊れてもどうせ魔法で直せるのだが)
僕はギリギリのところで、あの女の腹回りに腕を回して身体をキャッチしたのだ。
「(あー、心臓が止まるかと思った)・・・・大丈夫か?」
女の身体を起こしながら聞く。
すると女は、顔を真っ赤にさせながらお礼を言ってきた。
『あ、ごめん!その、ありがとう。ホントにありがとう』
「いや、別に、そんなに言われるようなことをした覚えはない」
ちょっとかっこつけるような言い方をしてしまったがいいだろう。
その場をすぐさま立ち去りたかった。
なんせ、グリフィンドールとスリザリンの生徒全員がこちらを注目しているからだ。
(あのマルフォイが人助けをしたぞ!しかもグリフィンドールのやつ)
(なんであんな子助けたの?別によかったのに)
(グリフィンドールの子は大丈夫か?助けた隙になにか仕掛けられてないか・・?)
いろんな声が聞こえる。
まったく、いちいちうるさい連中だ。
僕が人助けをして何が悪い。
確かに僕がグリフィンドール生を助けるのはあり得ないことかもしれないが
そんなの僕の勝手だろう?
それに・・
好きな子の笑顔は、
いつも見ていたいだろう?
「〜大丈夫だった?!何もされてない??」
の親友、が駆け寄り身体を触りまくる。
そんなの行動を見て、は笑いながら言う。
『全然大丈夫。ドラコさんに助けてもらったし』
それを聞いたは、呆れたような顔をする。
「だーかーらー、それが大丈夫かって聞いてんの!!」
まったくこの子は、と思っているに対し、は
当たり前かの様に話始めた。
『何言ってるの?私は絶対大丈夫。だってドラコさんに助けてもらったから!!』
「・・・・・・・・・・・・・・・ああそう。ならいいわ」
その言葉を聞いたは、満足そうに笑顔を見せる。
その会話をこっそり聞いていたドラコは
「(これは困ったな・・・)」
と、苦笑いをしながら、終始嬉しそうに笑った。
まとまりきらなかった悲しいお話。
こんな小説を呼んでくれてありがとう。
感謝感謝です。