冬休みが終わり、ホグワーツへ戻ることになったある日のことだった。




はいつもより早く駅のホームへと着き、ホグワーツ行きの列車に乗った。
早めに乗ったため、やはりコンパートメントはがら空きだった。
たくさんのコンパートメントの中から、汚れの少ないコンパートメントに決めて入った。
発車までにはまだ時間がたくさんある。
その間に、自分の座っている座席の反対側に荷物を置き
読み途中だった本を鞄の中からだし、読むことにした。


20分くらい経っただろうか、列車の中も慌ただしくなってきた。
男子の野太い声や、女子のキンキンうるさい金切り声が聞こえてくる。
読書中だったため、少しイライラした。
すると、もうすぐ発車するという汽笛の合図がきこえてきた。




やっとホグワーツに帰れる。
そう想い、ホッと胸を撫で下ろす。
家にいるいるよりは、ホグワーツに居たほうが断然楽しい。


の家は純血の名家だ。そしてやはり、スリザリン派の家なのだ。

そのため、何かと純血だとうるさく、よりによってはグリフィンドールなものだから
家の中でも少し冷たい目で見られがちなのだ。



そんな窮屈な家で過ごしているよりも
同じ仲間のグリフィンドール生と一緒にいたほうが心が落ち着くのだ。










出発の汽笛がなった。
ゆっくりと列車が動き出す。
少し生徒達の騒ぐ声がうるさいが、ゴトンゴトンという音が心地いい。
やっぱり1人は気楽でいい。




早めに来てよかった、と1人絶賛していると、扉がノックされた。







『・・・・・・・・。何ですか?』




折角1人で楽しんでいたのに、とちょっと相手にあたるような感じで聞いた。
すると扉が開き、1人の男子生徒が入ってきた。






「あの、すみません。他のコンパートメントが空いてなくて・・・・・・ここ、いいですか??」





『あー、はい。いいですよ。どうぞ』



なんか見たことある顔だなぁと想いつつも
どうぞ、と言いながら、荷物を自分のほうへと引き寄せる。





「すみません、ありがとうございます。では、前を失礼」



少し少なめの荷物を手に持ち、向かい合って座った。
ひとまず挨拶から・・




「僕、トム・マールヴォロ・リドルと言います。貴方は?」



『あ、私はって言います。宜しくお願いします』



「よろしく。えっと・・・・・、でいいかな?僕もリドルでいいから」



でいいですっ。それじゃぁ・・・リドルで・・・』




やっぱり見覚えあると思った。
この異様に美形な男子は、校内でも有名な生徒、トム・マールヴォロ・リドルだった。
成績優秀で、顔も良くて、性格がいい、純血主義のスリザリン生。
そんな話をよくきく。確かに、間近でよく見ると本当に綺麗な顔をしていると思う。


まじまじと顔を見ていると、リドルはその視線に気づいたのか
にこりと微笑み、何?とかわいらしく聞いてくる。




『いや、何でもないよ。そのー肌綺麗だなぁと思って』



「そんなことないよ。女の子のの方が、綺麗だよ」



『!!ど、どうも・・・・・』



「いいえ。本当のことを言ったまでだよ」



『あ・・・・ははは』




なんだこいつ。
むかつく!!むかつくくらいモテる理由がわかる!!


あーあ。この人はどんな女の子にもこうやって優しいんだろうな。
いいな。幸せだろうな。この人と両思いになった人は。




「ねぇ、ってさ、グリフィンドールだったよね?」



『え?・・・・うん、そうだけど』






なんでこの人知ってるんだろう。
私って有名??いや、でもそんなはずない。
家柄も特に有名な名前じゃないし、私はどっちらかというと静かな方だし。





は・・・・純血だよね?なのになんでスリザリンに入らなかったんだろうね?」



『っ!?!?っさぁ・・・なんでだろうね?向いてなかったんじゃないかな・・・』



今、一気に温度が下がった気がした。
彼の質問したときのあの目。
突き刺さる、獲物を狙った蛇みたいに、鋭く光った。
寒気がする。





「いや、はスリザリン向きだよ。絶対。だっては魔力があるからね」




『そ・・・・そんなこと、ないよ・・』






なんでこの人はこんなにも私のこと知ってるの・・・・???
私がいつも魔力を抑えてることを知ってる。
私が昔からの純血主義の家で育っているということを知っている。











怖い。










「あっ!!そういえば、薬草学の先生変わるらしいよ。前の人は良い先生だったのにね」



『そうだね・・・・もったいないね』





話を変えた。
彼はおそらく、私が気づき、安全範囲内で物事を話しているのだろう。


あまり関わらない方がいい。
そう思った。







それから普通に話もして、特に何もなくホグワーツに着いた。



コンパートメントを出て、列車から降りる。



「それじゃぁ、また今度話す機会があったら話そうね」



『うん。また話せるといいね。じゃぁ』





軽く挨拶をして別れた。


やっとあの恐ろしい男から解放されたのだと思うと嬉しくて気持ちが緩む。
早くベッドで寝たいなぁと楽しみにしながら、友達を探しに行った。































あれから三年経った。



私は今年でホグワーツを卒業するとしになった。
あの日以来、リドルのことなど気にもとめず、ただ平凡に過ごしてきた。
普通に授業を受けて、普通にご飯も食べて、普通に寝て。




誰がこんな生活が崩れると思っただろう?
おそらく、リドル本人だけが知っていたであろう。








夜、先生達によってたくさん出された宿題を片付け、寝る準備をしていたときだった。
同室の友達が声をかけてきた。





、ダンブルドア先生が呼んでたよ。先生の部屋にこいって」




『??わかった・・・・』




なんだかふらついたように歩くその友達。
しかしその時は、気にもとめず、ダンブルドアからの話のことしか頭になかった。




急いでダンブルドアの部屋へと向かう。
まだ消灯時間までは時間があったため、周りなど気にせず走る。




それがいけなかったのかもしれない。









この角を曲がればもうすぐそこっという時だった。
曲がり角の近くにある像から手が伸びて、の腕を掴んだのだ。





『!?!?やっ!!!』




掴まれた腕はものすごい力で引っ張られ、その像の裏にあったとおもわれる
隙間へと引きずり込まれる。同時に口も塞がれてしまった。




抵抗をしてみたものの、全然相手には効いていない様子だったので、抵抗をやめる。
すると後ろから小さな笑い声が聞こえてきた。







聞き覚えのある声だった。



それは三年前、同じコンパートメントにいた人物と同じ声色だった。










「フフッ気づいたかい?・・・・・




口元から手がゆっくりと外される。




『っはっ、やっぱり・・・・・リドル・・・・でしょ??』



にやり、とリドルの口元が緩む。



「さすが、正解。」



『はぁ・・・・さすがじゃないよ。これくらい、誰だってわかるはずだし』





リドルのほうへと顔を向けると、案の定あの猫を被ったような愛想笑いを浮かべている。






『・・・・・こんなことして・・・・何の用』





「そんなこと言って・・・・気づいてるんだろう?




『わからない。というか、知りたくもないんだけど。私自身が巻き込まれたから、仕方無く聞いてるだけ』





面白いねぇ、は。リドルはそう言い、私を自分のほうへとゆっくり引き寄せた。



『なっ!なにすんの?!』



「何って・・・・を抱きしめているんだけど」




ゆっくり引き寄せられていた身体が、急に素早くリドルの方へと引っ張られ、リドルの腕の中に収められた。
心臓の動きが速くなる。恥ずかしさからなのか、恐怖からなのかはわからない。









『ちょっと・・!やめて、離してっ・・・・!?』









リドルの唇に塞がれ、言葉を発せなくなった。
後頭部へと手が回され、固定される。



















危険だ。



野生の感というやつだろうか。
瞬時にそれを察した私は、リドルの身体を精一杯の力で押す。
しかしリドルの身体はピクリともしない。
逆に腕の力が強まり、身体も唇も接する面積が広まった。


そうこうしているうちに、息がだんだん苦しくなってきた。
徐々に押す力が弱まっていく私に気づいたのか、抱きしめてくる腕の力が弱まり、唇が離れた。




『っっはぁ・・・はぁ』



やっと空気が吸え、小刻みに肩が上下に揺れる。
呼吸がだんだん整ってきて、気持ちも落ち着いてきた。
するとまた、唇が私のへと吸い付いてきた。



まだ空気を吸っていたものだから、唇が半開きだったため
今度は新たにリドルの舌が、私の口内へと侵入してきた。
先ほどまで自分を支えていた足が崩れる。
しかし、リドルに支えられ、接吻をしたままゆっくりと床へ座らされた。







2人の息づかいが、だんだん荒々しくなってきた。
の口内を動きまわるリドルの舌。その舌が、の舌を捕らえ、絡ませる。
2人の唾液が混ざり合い、水音が漏れる。









『んあ・・・・・・・はっ・・・・んん・・・・』





「・・・・・・・・・ん・・・・・・・・はぁ」









クチュックチュッ









耳障りな音が聞こえてくる。

こんなことをしてくるこの男から今すぐ離れたいのだが、何故か身体の力が抜けて
抵抗することもできず、案の定、相手にもたれ掛かって、支えて貰っている。







少しの間その甘ったるい接吻を受けていると、唇が空気に触れた。
銀色のいとが2人を結び、途切れた。
そして私は、リドルへと倒れ込み、首元に顔を預ける状態になった。







『んっ・・・・はぁ、はぁ、はぁっはぁ・・・・・・何、したの?』




クスリ。

またあの不気味な笑みを浮かべる。



「呪文をかけただけだよ。君が自力で立てなくなるような呪文を、ね。」








やっぱりか・・・・。最悪。



しかし、今は杖もなければ自分を支える力もないわけで
相手を突き飛ばして走って逃げれるわけもなく・・・。早く解放してもらうのを待つだけだ。
リドルが口を開く。






「そういえば、君を呼んでくれた子、覚えてる?」




『・・・・・・・・・・・・・・あんたが、操ってた、んでしょ?』



力が入らないため、喋るのも少しつらい。




「頭がよく働くね、





『それぐらい・・・わかる』






「クスッ・・・・やっぱり、、、は面白いしかわいいね。・・・・・・・・・・・手に入れたくなる」
























どんな手を使ってでも。




最後にそう私の耳元で囁くと、身体を床へと押し倒された。
リドルが上から顔を見下げながら、あの憎たらしい笑みをこぼす。






『!!やっ・・・何・・・?!』






             
「僕は君を見かけた瞬間(とき)からずっと、、君をこの手に入れると決めていたんだ」






『!?』





笑みが消えた。
気のせいか、目つきも変わったように見えた。






「三年前、君と同じコンパートメントに入って、確信したんだ」







『そ、んな・・・勝手に、決められても・・・・・・・・困る』





反論をしてみたものの、リドルはそんなものお構いなしのようだ。
涼しげな顔で、私の言葉を完全無視の言葉を発した。







「そして今日、やっとが手に入る。僕のものになるんだよ」





『ちょっと・・・!!なに、勝手に、話進めて、って・・・近づかなっ!!』





リドルの唇がまた吸い付いてきた。私は抵抗できるはずもなく
今行われようとしている行為が早く終わることをただただ祈っただけだった。

















穢れない愛を頂戴。