あのやっかいな奴らが来た次の日。
あいつら以上にやっかいな奴らが来た。











患者とナースと変な気持ち











「晋助ぇ、大丈夫?晋助が学校にいないからさーみーしーいー」

「・・・・・・・・・黙れ」





女が、来た。
しかも大量に。
二桁くらいはいるだろう。


といえば・・・・




「・・・・・く、くさいぃぃぃ」




香水の匂いに負けたらしく、病室からは出て行ってしまった。






朝、日曜日なのに気分が優れないのは、学生の性というものと、天気のせいでもあるだろう。 昨日は今日雨が降るからと、と暇つぶしに無駄なことを話すか、と約束していて、 その約束を守るため、は朝早くから俺の部屋に来ていた。




本当にただ面白くもなんともない会話をしていた。
だが俺は、そんな会話でも楽しかった。



が、




「「「晋助!!久しぶりぃ、元気だった??」」」



「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・お、お友達?」




俺の嫌いな、けばい、濃い、女達が朝っぱらからやってきたのだった。




の存在など最初から無いようにと俺の間に割り込んできた女達。
おい、退け。邪魔だ。俺は、今、としゃべってんだ。



そう言おうと口を開く。と、



「お前ら・・・・」

「・・・・・く、くさいぃぃぃぃ」




女達は何語かわからない何かを話してたから気づかなかったかもしれないが、 はさりげなく酷いことを言って去っていったのだ。



、俺を、俺をおいてくな・・・





「ねぇ、ちょっと晋助ぇ、あの女、誰?看護師だからか知んないけど、化粧っけなさすぎぃ」

「お前らが濃いだけだろ」

「ぎゃははっ!!晋助ひどーい」




そうだ。俺は酷い奴だ。だから一緒に居たくないだろ。 じゃぁ早く出てけ。ここから消えろ。いっそのことこの世から消えろ。




「・・・・・・晋助さぁ、あの女のこと、好きなの?」

「あー思ったー」

「・・・・・意味わかんねぇ」




なんだよ急に。
俺が、を、好き?
いや、さすがにないだろ。
てか会ってからまだ一週間経ってねぇぞ。



「・・・・お前らよりはな」

「えー、私達あんな女より一緒にいるのにー?」

「あぁそうだ。お前らなんか鬱陶しいから嫌いだ」

「うー、私は晋助のこと、好きだよ?」

「なっ、そんなこと言ったら私だって!!」

「私の方が好きだしー」

「・・・・・・・・・・おい、誰か俺を助けろ」













「晋助さん・・・・ごめんね」

「・・・・・・・いや、別に気にしてない」



夕方になり雨が止むと、あいつらはやっと帰る気になったらしい。 長かった。今日は異様なほど長かった。ここまで時間が過ぎるのが遅く感じたのは初めてだ。 この病室が香水やら化粧の匂いでくさい。とりあえずくさい。



「空気の入れ換えしますね」

「あぁ、そうしてくれ。じゃないと俺は・・・死ぬ」

「実は私もです・・・うっ!!風がっ・・・でも、外の空気おいしい!!」

「・・・・・・スゥ・・だな」



が窓を開けた瞬間入ってきた風。
まだ少し雨の匂いを含ませながらやってきたそれは、とても気持ちのいいものだった。



「・・・・・(空気がおいしいなんて、初めてだ)」



ちらり。を見れば、気持ちよさそうに風に当たりながら空気を吸っている。



「・・・・・・・・(俺も)」


いつのまにか、自然と体が窓へと近づき、の隣で空気を吸っていた。 隣からは驚きで見開いた目からの視線がびしびし伝わってくるが、無視をして吸う。



「・・・・・なんか、意外。」

「・・・・なにがだ」

「晋助さんが、こんなことするの」




こんなこと、と言って空気を吸い始める
無防備な唇だな・・・。
そっと手をの顎へ添える。



「っな、なに!?え?」



ものすごく顔を真っ赤に染めて言うに俺は、



「・・・・・・・・お前、免疫ねぇんだな」

「えっ・・・・しょ、しょうがないでしょ」

「フーン・・・・お前、可愛いな」

「っ!!!・・・・たらしめ」




いつのまにか口に出していた言葉に、驚いた。




「けなしているようにしか聞こえませんね」

「折角褒めてあげたってぇのに、なあ?」




褒めたっていうか、勝手に口が動いてただけなんだけどな。
なんて言うか、といると調子が狂う気がする。




「あ、」とが何かに気づいたように呟く。



「ご飯の時間だ。用意してきますね」



時計を見れば、既に6時過ぎだった。




「腹減ってねぇ・・」

「駄目ですよ。ちゃんと食べて下さい」





そう言って笑いながら小さくなっていく背中を見て、じんわりと、心臓部分が温かくなっていくのがわかった。