夜だけの関係。


そんな関係、もうイヤだよ
ねぇ、私の気持ちに気づいて
気持ちが無いなら離れてよ
どうして私なんかを選んでくれたの

ねぇ、私、


期待しちゃうでしょ?









貴女に恋い焦がれ -1-
















最近よく頻繁(ひんぱん)にくるようになったお客様がいる。




それはなんと、
あの鬼兵隊を率いている
高杉晋助だ。





初めて指名され、相手をしたときは
ものすごく緊張した。



こんな人が私を相手にしてくれている。



そんな思いで舞い上がっていた。
なんせ、よく先輩の話にでていて、
相手をしたら、たちまち格が上がるという。


そんな人の相手を、もう一ヶ月ほどしている。
今では夜の営みをするまでとなり、
最近はそちらのほうが多くなった。




そんな中、近頃私は、相手をすることに対して
抵抗を感じるようになった。




なぜなら、自分の気持ちに気づいてしまったから。



できればそんなに来てほしくはない。





けれど、今日も彼はやってくる。






ちゃ〜ん、あの人のご指名よ」


『はーい、今行きます』




少し駆け足でその場へ向かう。
会いたくはないのだが、今日もここへ来てくれた
といことが嬉しく、早く顔を見たくて
つい急いでしまうのだ。


部屋の前に着いた。
ちょっと乱れた着物を整え、ひと声かけて
部屋に入る。



『今日もありがとう御座います、晋助様』


深々と襖の前でお辞儀をする。
そして上半身をあげ、彼の顔をみる。


今日もまた、いつものように
ニヤリ、と不気味な薄笑いを浮かべている。

しかしそんな不気味な笑みでも
彼にかかれば武器となる。
わたしもそれに惹かれた一人だから。


お辞儀をし終わり、すぐにソファーに沈み込む。
彼とは少し距離をとって。


『お酒は何にいたしますか?』


笑顔でいいながら、
今日もまた、彼に呑み込まれていくのか、
と考えていた。


「いや、今日は酒はいらねぇ。
 今朝、酒をたらふく飲んだからなぁ」

またしてもあの不気味な笑みを浮かべる。


『そうなんですか、では今日は
 晋助様のお酌ができないのですね?』


悲しそうな顔をする。
実際、本当に悲しいので
作り顔っぽくしていた。


「ククッ・・お前ぇは、・・・いい女だ。もっと近くへこい」


実はいつも、近くにこいと言われるのを
待っていたりする。そのために毎回距離をあけて座って居るのだ。


『失礼します。』


そういって彼へと近づく。
服と服とがくっつきそうなところで座った。
すると、彼が腰に手を回してきて、
自分のほうへと私を引き寄せた。

そのまま彼は、腰に手を回したまま
私の唇と自分の唇を重ねた。


唇に吸い付くようにキスをする彼。
とても愛おしく思う。

一、二分ほどしていたら、
唇にヌルっ、とした感じの物があたった。
それは、私の唇と唇の割れ目を
一生懸命開けようとしていた。


彼の舌が、私の口内に入ろうとしていた。
そんな彼の行動に、再度
愛おしいという感情が湧き出てきた。


彼の気持ちに応えるべく、
舌が入るほどの隙間を開けた。

するとすぐさまそれは侵入し、
口内を荒らしていく。



『ん・・・、はぁ・・・・ぁ、ふっ・・』



息が苦しくなってきた。

もうダメ。

そう、胸板を叩いて合図する。


するとゆっくりとだが、
唇が離れていく。

お互いの顔がよく見える所まで離れると、
どちらのかもわからない
銀色の糸が、二人の唇を繋いでいた。


彼の眼が細められる。


私の好きな、大好きな瞳が
自分を捕らえる。

恥ずかしくなり、頬などが一瞬にして
真っ赤になるのがわかったので、
勢いよく顔を伏せた。

その行動がおかしかったのか、
上から、できる限り押さえた
ククッという声が聞こえてきた。

いつ顔をあげよう、と考えているうちに
首筋に顔を埋めるのが解った。


チクッと首筋に痛みがはしる。
いつの間にか、彼の手は着物を
はだけさせ、私の肌に直に触っていた。

そして、女特有の膨らみの先に
手をつけた。


『あっ!そこ・・は、・・はっぁ』


甘い声が自分から発せられる。
そのまま行為が続く。

彼も息が荒くなってきた。


自分と一緒に感じてくれている。



そう思うと嬉しい気持ちがこみ上げてきた。
しかし、これ以上深入りを
してはいけないということ思い出すと、
また、気分がダウンしてしまう。


そんなことが行為中に
何度もあった。









行為が終わり、ほとんど素っ裸の身体に
くしゃくしゃになった着物を羽織る。


帯を絞めようとしたときだった。
彼の口から微かに音が聞こえた。


「    」


本当に、聞き取ろうとしなければ
聞こえないくらいの小さな声で
彼は言った。









「俺ぁもう、一週間後にはここを、江戸を出る」







ただの聞き間違いだということを信じたかった。
しかし現実はそれを許してくれない。






「もしかしたら、今夜が最後かもな」





そう言って、彼はもう一度私に
甘い甘い口づけをおとした。



本当にこれが最後だというように
お互いがお互いを求め
強く、深く唇が繋がり
舌と舌とを絡ませた。






愛していることへの感。







貴方に 恋い焦がれ