何故か俺は、彼女の手に触れられない。
























、ちょっと手ぇ出せ」




夜、俺の部屋に来たと思ったら
「今日はここで寝る!」
なんて言って、俺の布団を総取りしやがったこいつ、
とりあえず布団を捕ったことは許してやろう。(かわいいし、襲えるし・・・)


そんなに、今日何故かパトロール中に出会った餓鬼に貰った飴をあげることにした。
なのに、なのに・・・!!こいつときたら・・・・






『っ!!だ、だめ!!』


「・・・・・・・・」


『・・・・・・・・っ』


「・・・手には触んねぇから」


『・・・・・・、はい』





手に触れたくないというだけで俺を拒否りやがって・・・



おそるおそる差し出された手へと飴をのせる。
もちろん手には触れず、だ。




手の上にのせられた飴を見て、目を輝かせているこいつ。
一応俺の彼女。もちろん恋人として、やるとこまではやった。


が、








何故かこいつは手だけは触らせないのだ。





体はいいのに手はだめって・・・どういうわけだ??








付き合いはじめの頃、初めて2人で外出したとき
手を繋ごうとの手に触れようとした。




その瞬間。







『ぎゃっ!!だ、だめええええ!!!!』


「!?・・・・あ、ご、ごめん」


『え、あ、その、ごめん。手はちょっと・・・』


「あ、あぁ・・・」





あいつ、はいつもは見せないものすごく機敏な動きで、俺の手をはたき落としたのだった。
(俺はショックで放心状態になった)
そして何故か代わりに腕に手を絡めてきて、







『これなら、できるから・・・・ごめんね?』



「・・・・・・・・お、おぅ」










・・・・・許すしかねぇだろ。







まぁそんなこんなで、手を繋ぐより難易度が高そうな腕を組むことができたため
全然気にせず過ごしていたわけだが・・・・・





いい加減聞いても良いよな。




多分俺の手が汚いから、とかは無いと思う。
そりゃぁ、あれだ。初夜の時には全然、嫌がってなかったし?






「・・・・・


『ん〜?なに??』




旨そうに飴を頬張っている彼女を呼ぶ。
かえってきた返事の声は、少し眠たそうだ。
待て、まだ歯磨いてないだろ。





「直球で聞く」


『・・・・・・・何が?』


「何故俺と手を繋げねぇんだ?」




瞬間、急に後ろを向いたから、ぶふぉっ!!となにか吐き出す音が聞こえた。
おそらく、いや、絶対飴を吐き出したのだろう。


後ろを向いたまま、いそいそと手を口元へと運んでいる。
いや、汚ねぇだろ。




『・・・・・・・・な、なぜ今このタイミングで?』



舌を出して指で何かを取り出している。
「毛、嘘だ、糸、糸入ってる!」
・・・・・絶対布団の上に飴落としただろ。
だが今はそんなことに構ってられないからな、許してやろう。






「今気になったからだ」


『いや、だからって・・・』


「応えろ」


『う・・・・・』




問い詰めるように近づけば、それに比例して彼女も遠のいていく。
・・・・・おもしろい。




『・・・・・・・・・・・言わなきゃ、だめ?』


「!!・・・・駄目だ」



くっ、危なかった・・・
上目遣いのせいで危うく「駄目じゃない」って言うとこだった。








『じゃぁ・・・・・・とりあえずこれだけは言える』


「??」


『十四郎に触りたくないってわけじゃない』




よ、よかったぁ!!それだけ聞ければ・・・・いや、だめだ!!まだだ。
ちゃんと納得しないと駄目だ。





「で?後は?」


『う・・・・・・こ、これは恥ずかしい・・・』


「言え。別に俺はお前が屁ぇここうがゲップしようが平気だ」



これは本当だ。
むん、と腕を組み胸をはる。



『げ、下品な!!!』


「いいから、言えよ。俺はお前と手を繋ぎたいんだ」


『!!!と、十四郎・・・』





俺、今ちょー頑張った!!
めちゃくちゃ恥ずかしいけどから理由を聞くためだ。
しょうがねぇ。



『・・・・・・・・・手・・・・かくから』


「あ?」





手、かく?
手繋ぐと手が痒くなるのか?





『て、手汗かくから嫌なの!!』


「・・・・・は?」


『あぁ恥ずかしい、言っちゃった・・・』










手汗、かく?






それだけ?







それだけで俺は







拒否られたのか??








・・・・お前、それは酷すぎる」


『や、やっぱり!?手汗とかキモイよね!?ごめん十四郎!!振らないで!!!』



顔を両手で挟んで顔を真っ青に染めるは涙目になっている。



「いや、キモイとかじゃなくて・・」


『ごめんね、手汗かかないよう頑張るから、病院行くからああああ』




挙げ句の果てに泣き始めてしまった。
いや、だから俺の話聞け。




「ちょっと待て、俺の話聞け」


『うえ、ぐふぅ・・・ふっく、ひぇ・・』


「俺が言ってるのは手汗がキモイとかじゃくて・・・」


『ふえぇ、ぐずっ・・・ふいい、っく、ずずず』



鼻水、鼻水垂れてるぞ。顔、顔不細工だぞ。




「ああああ、ったく・・・」


「俺は、手汗ごときで手を繋がなかった事に対して言っただけだ!!」


『ひっく、・・・・・・え?』




アホ面。


まさにこの顔のことを言うんだろうな。




「手汗なんて、俺だってかく」


『・・・・嘘』


「お前といるだけで緊張して手汗をかくぞ」


『・・・・ふうぇ、う、嘘だぁああ』


「それじゃぁ・・・!」




今まであった距離を瞬時に無くし、の手を握った。
案の定驚いたようで、涙も引っ込んでいた。




『やっ!!触っちゃ・・・』





ぎゅっと、握る力を強める。





「・・・・・ほら、な?」



目を見ると、は視線を逸らすように顔を下げる。



『・・・・・・』


「俺だって、緊張して手汗をかく・・・けど、と手を繋ぎたいんだ」


『・・・・・私が手汗気持ち悪いって言ったら?』


「そ、そん時はそん時だ!」






クスクス、
笑い声と共にの肩が揺れるのがわかった。
の手が、握り返してきた。




『ふふ、十四郎も手汗かくんだ』


「あぁ、当たり前だろ」


『・・・・ありがと』


「あ?・・・!?」





が近づいてきたかと思うと、小さくリップ音がして、キスをされたことがわかった。





「おまっ・・・!!」


『十四郎、好き!!!』





抱きついてきたに油断していたため押し倒され、布団の上へ倒れ込む。
背中と頭が痛い。




『今度からはちゃんと手、繋ぐから。約束する』


「・・・・・・・・」


『今度の休みは一緒に遊びに行こう!』


「・・・・フッ・・」


『むっ。なにが可笑しい、の・・・』




彼女の背中へ手を回し、次は俺が押し倒してやった。
目を大きく開かせ、ぱちぱち瞬きを繰り返しているの額へとキスをする。





『、と・・しろ?』


「それじゃぁ今から、手を繋いだまま・・・ヤるか?」


『え、』


「元はと言えばお前が俺を押し倒すから・・・・」


『なに、なんのこと、てか私ヤらないよ!』


「そんなの知らん」


『ちょ、全然そんなこと考えてなかっ・・・ん』







の唇へ自分のものを押しつければ、今までとは打って変わり
おとなしくそれを受け入れた。




ただ変わらなかったのは、繋いだ手。


















君の全てがおしい。

















十四郎手汗かきすぎ!!
は?お前の方がひでぇよ
なっ、乙女になんてことを言うの!
お前も、紳士になんてこと言うんだ!